【小説】夢の海 第3話
夢の海 第3話
『-もう一度大草原の 片隅で話しよう-』
一夫の声が丘の上、太陽の方角から聞こえた。
私はスニーカーを脱ぎ捨て、砂混じりの芝生を駆け出した。
冷たい砂と草が足の裏に張り付いては向かい風に飛ばされていった。
ダッフルコートとマフラーは走りながら投げ捨てた。強風の中、ふたつは絡み合いながら凧みたく舞っていった。
私はバカなので、身軽になれば先を行くあいつにも追いつける、ただそれだけのただそれだけだった。
聞きたいことはたくさんある。
あの日会いにいけば一緒に成長できたのかとかボディスウィッチングなしでもまた会えるのかとか、夢の海の好きな一番好きな歌詞とか。
私という小さな点が緑の丘を駆け上がっていく様子を太陽は見ていた。
『-ふりしきる雨が僕の 体をゆっくりと洗い落とす-』
また一夫の声が聞こえた。
丘の上に近づくにつれ、ミストシャワーのようなお天気雨が私を包んだ。Yシャツが地肌にピッタリ張り付き、汗まじりの化粧は洗い流されていった。
丘の上の白い光の中から手が伸びた。その手は一夫の声だった。
『-とびだそう手を上げて 君と行ったあの丘へ-』
砂と芝生に足を取られながら私は手を伸ばし彼の手を掴んだ。体温のない乾いた手だった。
その手を掴んで顔を上げた。
その顔を見たいのに見たいのに雨が、いや私の雨が溢れて、そこにあるはずの顔や身体は境界線を失い、潤んだ世界は口元ぐらいしかはっきりと映してくれなかった。
その口元は三日月の形をしていた。
「どうしてっ……!」
「どうして私は泣くことができるのに、あんたはそれを笑っていられるのか!」
私は目の前にあるはずの見えない身体を叩いた。
「あんたはもう、自分の身体で泣けないんだぞ!」
男は丘の上の草原に立ち、ただ笑っていた。
男の口元が微かに動いた。
次の迷路で待ってる。
男は手を離した。
待って、えっと。聞けない。聞けること。聞きたいこと。
「……が好きな歌詞を教えて」
私は祈った。
『-』
男は答えた。
「ああっ、よかった」
私の口も男と同じ形になった。
びしょびしょに泣きながら笑う私を見て、太陽はきっと笑ったのだろう。私の相貌が変わるのをずっと待っていたのだ。
世界は朝になり白く染まっていった。
「はっ」
見慣れた白い天井が目に入った。
体を起こすと、周囲には積み上げられた引っ越し用の段ボールがあった。床にはビニール紐の玉、黒マジック、ハサミ、ガムテープが散乱していた。
カーテンの隙間から光が差し込み、私を包む掛け布団の上を通り過ぎてリビングのソファーまで伸びていた。ソファーの周りには誰かが昨日まで生活していた痕跡が残っており、しわくちゃになった毛布、綺麗に折り畳まれたメイド服、カミソリ、セクシーな水着など脈絡のないグッズが転がっていた。
突然うちに居候してきた誰かさんの生活の痕だ。
「あっ……」
頬に触れると涙でびしょびしょに濡れていた。涙は流れ止まる所を知らず顔から溢れていった。
「夢を見て号泣するなんて……」
しかも夢に出てきたあれは、前にふたりで行った海の近くの公園だ。一夫が体を失い、一方的に別れを告げる前に行ったあの公園。こんなときにこんな夢を見るなんてなんておセンチなんだ私は。
ベッド横のティッシュに手を伸ばし、何枚も引いては拭いているのだけど止まらない。
もう、どうしようっか。
私は途方にくれた。視線は宙を浮きリビングに飛んで行った。
「……が上がれば ……はまた昇る」
軽快なリズムの曲が聞こえた。ソファーの方からだ。
私は泣きべそになりながら音源に近づいた。
ソファー横のCDラジカセはラストフレーズを繰り返していた。
『-雨があがれば 陽はまた昇る-』
『-雨があがれば 陽はまた昇る-』
次第に音は小さくなり、しぼむように停止していった。
あの時あのデートのあの海で、現実の一夫が言った言葉を思い出した。
「俺は最後のあの歌詞が好きだ。何度も繰り返してくれるじゃないか」
「たとえ夜に生きていても、また朝がくるんじゃないかって期待しちゃうよ」
今思うとあれは、体を失って身体になる前の一夫の遺言だった。
私は洗面所に行って顔を洗いタオルで拭いた。
「よしっ」
美人からちょっと崩れた顔を確認して、私は朝を始めることにした。
「はっくし」
「ピッ」
「ウィーン」
「ごぉー」
「パタパタパタパタ」
「ピッ」
「オユハキュウジュウドデス」
「ぽこぽこぽこぽこ」
コーヒーを入れるだけなのに、ちっちゃな部屋に生活音は響いた。引越しで物が片付いているせいか少し広く感じる。
カーテンを開いて、コーヒーを持って朝陽が差し込むベランダに出た。
高台に位置しているこのアパートからはまわりの景色がよく見える。遠くには緑が多い街を臨むことができた。都市から郊外に向かうとじょじょに緑が増えていくのはとても現代的だと思う。
コーヒーを飲みながら無心になった。
リビングから再び音楽が聞こえた。
ラジカセはさっきと同じ曲を再生していた。
『-とびだそう 緑の町へ-』
『-とびだそう 今すぐに-』
坂の下から引越しのトラックが走るのが見えた。
リビングのCDラジカセは「ヨヤクサイセイ」のデジタルな文字を表示していた。
ぬるくなったコーヒーを一気に飲みほして室外機の上に置き、まだ冷たい三月の空気を吸い込んだ。
「人の家で勝手にDJしてんじゃねーよ」
ばーか。
わたしは罵詈を虚空に放って部屋に戻った。
引っ越しの準備を始めた。
(終わり)
※参考
JAGATARA, 夢の海
【小説】夢の海 第2話
夢の海 第2話
建屋の近くに車を止めエンジンを切った。無音になるかと思ったが、風音が残った。車も少し揺れている。
「外、寒そうだね」
一夫は言った。
「うん、後ろからコート取ってくる」
聡美は運転席から外に出て後部座席のドアを開いた。体を伸ばして後ろに置いていた白いダッフルコート、緑基調のチェックのマフラー、白い毛糸の手袋を取り出した。
「ぅあー、下半身が寒い」
聡美のスカートが揺らめいた。
これは髪の毛結ばなかったら相当乱れてただろう。お団子ヘアーにしておいてよかった。
「風すごいね。早くドア閉めてよ」
一夫は助手席に座ったままだった。
「あんたも早くでてきなさい」
聡美は後部座席のドアを勢いをつけて閉めた。取り出した長いマフラーを首もとにぐるぐる巻きつけた。
道路を挟んだ先の原っぱの奥で、風力発電の羽が高速回転しているのが見えた。どこからか飛んできた芝生がダッフルコートの袖口に張り付いたのではたいた。またすぐに飛んできたので、しょうがないと諦めはたくのをやめた。乾燥具合を確かめるために口をイーってすると、かさついた下唇がピリっと少し切れた。指でなぞると血で赤く染まった。
「バンっ」
一夫もとうとう諦めて車から外に出てきた。
一夫の防寒具は私に比べて心許なかった。
キャメルカラーのPコートに薄手のマフラー、中にはYシャツとスラックスを身につけていた。とてもこの海風に耐えうる服装ではなく、表参道からどこでもドアでやってきたと言ったほうがしっくりくる。
正午近いというのに車から伸びる影は長かった。
「ここは目的地の公園じゃなくて、道の駅みたいだね」
一夫は建屋の前の案内図を見て言った。
「道の駅といっても今日はトイレしか営業していないみたいだね」
「あっ、そう」
「まぁ別に今日は地元野菜買いにきたわけじゃないから」
来る途中にメロンの販売に関する看板をちらほら見かけたが、冬には収穫できないらしい。
建屋の近くにはもう一台乗用車が停車していた。
金髪の若いカップルが車内でいちゃついていた。風で揺れているのか彼らが揺らしているのか判断がつかなかった。ただ、自分の体を使って温め合うことができるのはとても良いことで、羨ましいと思った。寒い所に立つからこそ生まれる感想なんだと思う。
「じゃあ、行こうか」
一夫は歩き出した。
公園は建屋の裏手を歩いた先にあるらしい。なんで私たちはそこに向かっているのかわからないまま、私はついていった。
しばらく平坦な芝生を歩いた。
一夫はずっと無言だった。
私も無言で歩いた。
風だけがうるさかった。
拷問のような寒さだったが怒りの感情は沸かなかった。むしろ希望の感情を抱いていた。何かにたどり着ける、いいことが待っている、そんな気がした。
「着いたよ」
少し坂を下ったところで一夫は立ち止まった。目の前に大きな生垣が立ちはだかった。
「これは何?」
「迷路の公園」
「迷路?」
目の前には成人男性の背丈以上の生垣があった。
カベの左右端に生垣がない部分があり、両方とも「入口」と書いてあった。
「入り口は2つ、ゴールは1つの生垣でできた迷路。子供向けのアスレチックさ」
子供向けという割には、生垣の高さは異常だった。この手の迷路は普通大人が子供の位置がすぐにわかるように、せいぜい子供の背丈ほどにすると思うんだけど。
「この迷路を抜けられたら、思っていることを全て話す」
「えっ……」
一夫は目を細めて朗らかな表情で言った。
「知りたいんでしょ?俺が何を思っているか」
「……」
別れ話だ。一夫は別れようとしている。しかもそれは男女の交際的な別れじゃない。未来永劫会えなくなるような別れ。なんとなく勘付いていたがずっと誤魔化していた。会える機会が減っていることとか、一夫の言葉や考え方が手からスルスル落ちていくこととか、日々感じていた。今じゃ音楽を介してでしかまともに話すことはできない。そういう話をしている間を良いのだが、それ以外はもう……。
一夫が思っていることが、なーんちゃって、で済むような話であったらと願っている。そんなことはきっとないのだけど……。
「迷路を抜けたら海が近いんだ。子供のとき来たことあるから覚えている」
「結構ガチな迷路だからがんばってね。気をつけてね」
一夫はこの迷路はみどりの丘っていうんだって、じゃあまたねと言うと走り出した。それがスタートの合図だった。
ふたりはそれぞれの入り口に向けて、反対方向に走り出した。
走りながら私は走る理由について考えた。
なんで私たちは鹿島までドライブに来たのか。なんで一夫はこの公園に来たのか。一夫の思っていることを私は知りたいのか。どれもわからなかった。もし知りたくないのなら、ゴールしないほうがいいんじゃないのかとか、いろんなことを考えた。
そんな私の気持ちを汲んでくれたのか迷路はなんどもなんども私を同じ十字路に連れ戻した。
子供も来るようなアスレチック施設だと思って舐めていた。最初は5分もあればたどりつけるだろうと思っていたのに、ゴールに近づく様子は一切みられなかった。
「聡美ー、大丈夫かー」
生垣の上を通って、一夫の声が聞こえた。割と近くにいるようだ。
「いまのところ大丈夫、でもこれむずいわ」
「だろーねー。俺、子供のときここで迷子になったもん」
「私もたぶん、迷子になりかけてる」
一夫はガンバ、と一言告げると遠ざかっていった。
さっきまで見えていた太陽は消え去り、頭上は灰色の雲で覆われていた。前に進んでいるのか、後ろに進んでいるのかもわからなくなった。方向感覚が狂った。
気が付くと額から汗が垂れ、お団子ヘアーから髪の毛が崩れ漏れていた。汗でぐっしょり重くなった手袋と首元に巻いていたマフラーを外して小脇に抱えた。首元に風が流れ少し涼しくなった。
立ち止まって膝に手をついて息を整えていると、再び一夫の声が聴こえた。とても遠くからだった。
「先にゴールで待ってるよー」
サイレンのように彼の声は響いた。私は顔を上げるが、どうしたらいいかわからなかった。
ただ一夫の声がした方に歩くことはできた、そんな単純な走性に頼っていた。一夫は迷路をどう生きていくかわかっているので、既にゴールしている。この時代をどう諦め。どのように認め、どのように夜を生きていくのか既に決定したんだ。そのことにどこか置いていかれた気持ちをずっと感じていた。
私は迷わないことだけを考えて、片手を壁に着きながら歩きはじめた。こうするといつかゴールにたどり着くと、カードキャプターさくらの迷路編で読んだのを思い出した。先生だったら腕力で壁を破壊するのに、とかふざけたことえを考えていたら少し元気が出た。
角を曲がるとこれまで見たことのない道に出た。
道の先で光が差し込んでいるのが見えた。ゴールだ。
気が付くと私はまた走り出していた。会える。会いたい。聞きたい。それだけを考えていた。一夫の声はだいぶ前からしなくなっていた。
光に近づくにつれて波音が大きくなっていった。海は近い。
白い光の差す生垣を掴みながら。私はついに迷路を脱出した。
「……」
ゴールを抜けた先には緑の芝生の丘があった。見上げると、丘の頂点と空が交わるあたりに太陽が見えた。
一夫の姿はどこにもなかった。ゴールで待っていて抱きしめてくれると期待していたのに。
(続く)
【小説】夢の海 第1話
※本作は小説「アクト・オブ・ボディ」のスピンオフ作品になります。内容は「アクト・オブ・ボディ」を読んでいる前提で書いておりますので、まだの方は先にそちらを読まれることをオススメします。
※小説「アクト・オブ・ボディ」の購入サイト
夢の海 第1話
私は一夫と鹿島の海へ向けてドライブしていた。
それは彼との久々のデートだった。
「もう体はだいじょうぶなの?」
「だいじょうぶだよ。それより聡美は運転だいじょうぶ?東京からずっとここまで運転だけど疲れていない?」
「大丈夫。ずっと真っ直ぐだから」
三月のどこまでも透き通った青空を灰色のスポーツカーが切り裂いていった。サイドウインドウを開けると青空の断片が頬を引っ掻き、海風の冷たさを予告なしに教えてくれた。
車内は少しタバコ臭かった。言い訳するとこの車は私のではなく、親父の車だ。普段から親父が車でタバコを吸っているせいか臭いが染み付いており、染み付いている車に私も慣れ親しんでいた。それでも他人の視線を感じると私でもこの臭いはちょっと気になる。
一夫は気にしないと言ってたが、親父が吸っているタバコの銘柄まで当ててきた。これは私がタバコを吸い始めたことがバレるのも時間の問題だ。
「高速も今走ってる海沿いの道もずっとまっすぐだね。こういう道なら俺でも運転できるのかもなぁ」
「そうね」
「まあけどドライブに関しては聡美の方が上手だし、聡美に任せたほうがいい。うん、ぜったいそうだ」
一夫は運転が上手うんぬんの前に人に主導権を握られるのが好きなのだ。
付き合い始めの頃は私のほうがなんでも決める人という認識だったが、最近それは違うとわかった。主導権を握っているのではなく握らされているのだ。運転しているのではなく、運転させられているのだ。見方によっては手のひらの上で転がされているとも言えるかもしれない。
「一夫、なんか音楽流してよ」
私は左手でカーナビゲーションを指差した。
「いいぜ」
一夫はぱっぱとスマホとカーナビを接続し音楽を選曲しはじめた。その間にサイドウインドウを閉じて海風の音を遮断した。
さっきまで登り坂だった道は緩い峠を越え下りはじめ、フロントウインドウに太平洋が拡がった。
「流すね」
一夫はスタートボタンを押すと音量ボタンを連打した。
窓を閉めたんだから音量上げなくても聞こえるよと言おう思ったがやめた。
カーラジオから音楽が鳴り始めた。軽快なトランペット音とクラップ音とチャカポコ音が何度となく繰り返される。
「-なんどとなく夢の海を一人 ただよってた 目に映るものは過ぎ去りしの君の笑顔-」
男性の低くも明るい声が、軽快なビッグバンドの伴奏とともに流れ始めた。ときおり女性のコーラスも入っており、アニメやバラエティ番組のエンディングにも使えそうな軽快な音楽だけど歌詞はどこか、九月や三月の晴れ晴れとした寂しさを感じる歌だった。
「---」
「---」
「---」
曲が終わった。八分半もある長い曲だった。次の曲はかからなかった。
「ねぇ、これなんて曲?」
「JAGATARAの、夢の海」
「ふーん」
「いいよねぇ〜。JAGATARA」
「いや、そんな言われても世代じゃないし、初めて聴いたから知らないし」
一夫の方がいちよう年上とはいえ数個しか違わない。どちらかというとこれはマニア度の差だ。私はカウントダウンTVの上位に来る曲しか聞かない。JPOPか洋楽の有名曲しか知らない。一夫はこういうアングラな音楽をよく聴いているが私にはよくわからない。
だがこうやって一夫が選んだ曲をドライブする度に聞いていたら、JAGATARAを良いバンドと思うくらいに私は洗脳されてしまったのだ。
「まぁ、いいバンドなんじゃない」
「俺の布教のおかげかな」
「洗脳だって」
道路上の青い看板はときおりあと何kmかを示すが、ところどころ剥げていたり茶色く錆びていたりしていた。もうすぐ着くのかどうか情報を得るのは難しかった。
「聡美はこの曲のどこらへんが好き?」
一夫はJAGATARAの話を続けた。
「うーん、明るい感じのとこ?海沿いのドライブに合う感じ」
「わかってんじゃん、タイトルも夢の海だしな」
「歌詞は、歌詞はどうよ」
「歌詞ぃ?歌詞なんか1回聴いただけじゃ覚えらんないよ」
一夫はニヤニヤしている。見なくてもわかる。
「あー、最後のほうの『-とびだそう 手を上げて 君と行ったあの丘へ-』のとこ」
聡美は掠れた高い声で歌った。
「なるほどね〜」
「ん〜じゃあ、一夫は?」
あっ、しまった。オタクに語らせると長くなるやつじゃん。
「俺はね〜〜、
『-なんどとなく夢の海を一人 ただよってた 目に映るものは過ぎ去りしの君の笑顔-』
のとこと
『-荒れ果てた楽園を あとにして今 ゆらゆらと揺れる街並みは 欲望をつめこんで-』
のとこと
『-夜が明けたらきっと 君を迎えにいくから その日まで待ってておくれ いつものあの場所で-』
のとこと、なにげない……」
一夫は男性ボーカルとよく似た声で歌った。
「ちょいちょい、何フルコーラスで歌おうとしてんの」
一夫のジャイアンリサイタルが二番に入りそうだったのでさすがに止めた。
「聞けば聞くほどいいんだよねぇ……。でも一番好きなフレーズは……」
「チッカ、チッカ」
車は左折し、駐車場へ入っていった。
「着いたよ。海沿いの公園」
一夫リサイタルが再開する前に目的地に到着した。
(続く)
日記_220619
猫・妖怪・ジニア
月曜日から日曜日まであったことをつらつら書く。
友人の友人宅でビールサーバーでのビールを飲む。普通のお家にお店のサーバーがあってなんか感動した。お酒関係の仕事をしてる友人氏がそのレンタルサーバーを手配したらしい。ビールはペットボトルに入ってるものをセットするだけ。サーバー用の2Lペットのビールがあるらしい。
昼ごはんを作るのがめんどかったので、食堂へ(バーミ○ンとも言う)。
梅雨なので雨がぱらついていた。ここでいつも駐車場で寝転んでいるキジトラ(猫)がいないことに気が付く。
食堂ラーメン(バーミ○ンラーメンとも言う)が脈絡もなく安くなってることを店の前のノボリで知る。思考停止でラーメンを頼む。すると猫型ロボットがラーメン(と注文表)。SFではなく2022年は一部のファミレスでトレイが3段組みになった猫型ロボットが配膳をしてくれるのだ。これの存在時代は少し前にガストで経験していたので知っていたが、自分の生活圏に入ってくると感動も一入である。ただ、どこかキジトラ氏に似ている。注文表の隅にデジタルな文字で「コロシテ」って描いてあったのも気になる。新メニューか何かだろうか。
100分de名著の砂の女が面白い。安部公房は何作が読んでるが有名どころの作品(箱男、他人の顔、砂の女)は読んでなかったので、これを気に読み進めていきたい。TV放送だと第2回(全4回)まで放送されている。
ランダム性を家に導入したいと思い、水やりの必要な植物を買うことにした。
今読んでる千葉氏の本の影響でもある。
近所は植物・造園業にあふれた土地なので花屋には困らなかった。昔、ウツボカズラを購入したことがある花屋に向かう。天気も良く花屋およびまわりのお店は賑わっていた。
「ボタボタボタ」
頭上の透明なトタン屋根から音がした。雨かと思ったが雨じゃなかった。
間髪入れず花屋の店主が話しかけてきた。
「見えちゃったかい」
「え?」
「見えちゃったらそれは妖怪だよ」
冷たい汗がビールっ腹を滴る。
でも僕は賢いのですぐに気がついた。トタン屋根の端っこで寝転ぶ猫ちゃんに。
番犬ならぬ番猫だろうか。でも妖怪ファンにとっては聖地のようなこの土地では猫も姿を変えて妖怪とかロボットとかになるのかもしれない。猫娘(アニメ版6期)として出てきてほしい。
そんな妖怪大戦争を経て我が家に導入された植物はジニア(品種:プレシオーサ・色:オレンジ)だ。暑さに強く長く咲くらしい。何よりもビビットなオレンジ色に惹かれた。
小3のときに給食の種から自分の背丈が超えるくらいまで、実家の庭で育てることに成功した(すごくない?芽が出るまでは小2のときの理科の授業で余った肥料と鉢を使い育てるなどの工夫が見られた)が、母親に引っこ抜かれたというトラウマを抱えている。ここではそんな邪魔が入らない。
ジニアはキッチン横の小さな庭に設置した。クソババアはやってこないが、近所の猫がたまに通り過ぎていく。バーミ○ンののぼりをたてたら猫よけになったりしないだろうか。ミントやローズマリーなどの植物も有用らしい。花屋にはハーブ系の植物も売っていたし、また妖怪大戦争しに行くのもいいかもしれない。
日記_220610
今週は月曜日から毎朝パンを食べている。
食パン→食パン→雨→権藤といった具合だ。
あらゆる駅という駅から遠ざけれた魔の六芒星に位置するこのアパートにはあまりチラシが届かない。週に1枚届けばいいほうだ。だからピザ屋のだろうと宗教勧誘のだろうと、チラシは大事にとって置いている。1枚たりとも捨てたことがない。なんなら40枚まではスリーブに入れて大事に保管している。エ○バの勧誘チラシは10枚だぶっているが、3枚までデッキにいれていいことになっているので、残りの7枚をチラシショップに行って、幸福○科学のチラシと交換してもらう妄想をしている。幸福○科学のチラシは1枚までデッキに加えていいことになっているので、いつか幸福デッキを組んでみたいと思っている。駅前のデパートの4階にチラシショップがあるとコロナ前に届いたデパートのチラシに書いてあったが、まだ一度も行ったことがない。潰れていないことを祈る。でもどうせ今日もどこにも出かけない。帰納法で永遠にチラシショップに行くことはできない。永遠に俺はデッキの中からエ○バの勧誘チラシを除くことができないのだ。
諦めて俺はエ○バの勧誘チラシを1軍、2軍、3軍のデッキに上限ギリギリの3枚分配し、残りの1枚をドローしてそのままテーブル(フィールド)に広げ(イケニエにささげ)、魚焼きグリルですこし焦がしたトーストを召喚した。俺はこの朝食(ターン)、ライフポイントダウン(さらあらい)なしで、朝食(バトルフェイズ)を終えた。エ○バのチラシを墓地(もえるごみばこ)に送り、まだあたたかみの残る寝室のベットへ歩みを進め。
二度寝(ターンエンド)だ!
頒布した同人誌を国会図書館に納本してきた
国立国会図書館に行き、自分が頒布した同人誌を納本してきました。
そのときの手順を忘れないよう、メモとして記事を書きます。
なので、納本や国会図書館についての詳しい説明ははぶきます。
気になる人は下記の国会図書館のHPを読んでみてください。
Q&A―企業・団体、個人|国立国会図書館―National Diet Library
1. 納本する本
今回納本するのはこちらの「第1回異世界分子生物学会年会講演要旨集」
文学フリマ東京(2019年5月)にて頒布したSF同人誌。
頒布数が約150部ほどなので、納本するとお金がもらえます。
※通常の自費出版物等については、100部刊行されていることを基準に、代償金がもらえます。
2. 国立国会図書館へ行く
出て左に真っ直ぐ歩いていくと国会図書館にたどり着きます。
交差点を越え。
着いたか!
いえ、利用者入り口はもう少し先です。
少し歩いて左に曲がると、本館(正面)と、新館が見えてきます。
今回は初めての来館のため、まずは新館に行き、登録利用者カードを作ります。
3. 登録利用者カードを作る
新館です。
入り口近くに案内の方がいます。カードを作りたい旨を伝えます。
利用者登録申請書を書いて、受付に提出します。
この際に、身分証明書の提出を求められます。
提出してからカードができるまで、ちょっと時間がかかりますので、ソシャゲの周回でも進めましょう。
平日午後で15分程度かかりました。
また待っている間にロッカーに行き、持ち込み物を透明な袋に入れましょう。
カメラ等の撮影機材はここで置いて行きます。携帯は持ち込み可ですが、
カメラ機能の使用は禁止されています。
4. 納本手続きをする
カードができたので、図書館に入室し、納本しましょう。
納本は本館で行います。
ゲートを抜けたら、職員の方に相談し、納本手続きの場所を聞きましょう。
「すみません、頒布した本の納本手続きを行いたいのですが」
「お客様、裏に来てください(意訳)」
係の方に導かれ納本手続きの部署へ。
「ここ、関係者以外立ち入り禁止って……」
「大丈夫です。お通りください」
階段降り、下の階へ……。
やばい、大丈夫かな……。このあとボス戦控えてたりしない?
世界樹の葉持ってたっけ?
階段を降りると、こじんまりとした受付が。
受付にあるブザーを押すと係の人が来て手続き開始。
「納本受領書」を記入します。写真は持ち帰った控え(写し)になります。
これで納本は完了ですが、今回は本を収めた代償金を貰いたいので、「出版物納入書」を記入します。
代償金とはざっくりいうと、「ある程度の部数のものは、
収めてくれたら価格の半額支払うよ」システムです。
もちろん、無料で寄贈することもできます。
出版納入書を書くときのポイントは「ハンコ」と「価格の記入」です。
発行者としてのハンコと、代表者(納めに来た人)としてのハンコが必要です。
今回、発行者本人が収めに来たので、自分のハンコは2ヶ所押すことになります。
ここらへんの手続きを見越して、同人誌の奥付の発行者を複数名にしておくと、手続きできる人が複数人できて便利かもしれません。
「あっ……、ハンコ忘れた」
やっちまいましたねー。これにてノウホンクエストはThe End。
……とはなりません。ハンコを持ってこなかった人でも後日、封筒で出版物納入書を送付すれば大丈夫です。ですが、切手代は自分持ちになるので、ハンコは忘れないようにしましょう。
またこの出版納入書、いくつかの部分は誤記しても修正できるのですが、
代償金の計算クエリーとなる「価格」の記入に関しては、間違えたらこの書類ごとオジャンになります。
受付の方もそれを危惧して、予備の納入書もくれました。
これにて納本手続き完了
4.おまけ
納本手続きはなんか楽しかったです。
受付に行くと「納本をしてくださいありがとうございます」と、お礼を言われる。
自分達が真面目に不真面目かいけつゾロリで作成した本のカテゴリーを、真剣に考えてくれる。
最初は「ああ、学会の要旨ですね。こういう本の寄贈もよくありますよ」というところからスタート。
「分子生物学会というものは実在するんですが、これは非実在の学会でして」という説明をして、カテゴリーについて説明。こう書いてみると、だいぶ意味不明な事、言っていますね。
カテゴリーについての部分は雑談みたいのもので、あとで分類するときの参考にするみたいです。
なんとかして「SF雑誌やSF小説に近いもの」という説明ができた。また「雑誌か、雑誌じゃないか」についても詳しく聞かれました。「1年以内に第2号が出ます」と伝えると、「雑誌の分類にはいるかもしれないわねぇ……」みたいおっしゃっていました。国会図書館のカテゴライズのif文を覗くようで面白かったです。
あと、代償金の根拠になるので本のどこかに価格を書いておくのは大事かなと思いました。文学フリマで出店して頒布してますので、ホームページの出店詳細や、通販サイトの価格を提示してもよいので、そちらで対応もできたかと思いますが。
最後に、納本をすれば資料になります。
機会があれば、入手が難しい本や雑誌の閲覧をしに行くついでに、
頒布した本を納本しにいってみませんか。
反省会_文学フリマ東京(20170507)
5/7に小説のコミケ、文学フリマ東京に参加してきました。
その感想などをつらつらと書きました。
下に目次を記載いたしましたので、気になった項目だけでも読んでくださいな。
☆目次☆
1.販売物
●販売物のソース
●販売物
2.メモ
3.文学フリマに出展することの小説家としての
●メリット
●デメリット
4.次回売り上げを伸ばすためにすること
●店頭設置
●配布物
●その他
5.総評
1.販売物
●販売物のソース
今回の販売物は"小説家になろう"というサイトで、作者"やまけん"として連載し、
完結し、2017年1月にアップロードしたものをベースに同人誌化しました。
●販売物
上記の小説を加筆修正、人物挿絵の追加、表紙・裏表紙の追加をし、B5版冊子にしたものを1冊500円で販売しました。
2.メモ
●テーブルの上に敷くクロスはテーブル上だけでなく、店頭の前面に垂らせる大きいも
のがよい。足元がみえるのは格好悪い。宣伝ポスター・イラスト等の大型印刷物を
店頭の前面に垂らす形もあり。
●会場で通販会社のチラシ持ち帰る
●クロスは冊子とのコンントラストが付く色合いの方が、お客様の目に付きやすく良
いのではないか。暗めの色を基調とする本なら、明るめのクロスといった具合に。
●フリーペーパーは必ず受け取ってもらえるので宣伝面では効果的。予算もあまりか
からない。ただ、文フリ会場での冊子の宣伝につながるかどうかは疑問が残る。自
分もいくつかフリーペーパーを受け取ったが、それらのサークルの同人誌を買うに
は至らなかった。よほど印象的なフリーペーパーないと効果がないのでは?
●店頭に冊子の中の文体、文がわかるような宣伝物が必要なのではないか。一文、A3
で印刷して貼るとか。タブレットPCで印象的な文のスライドショー(デザインもこ
だわる)を流すとか。
●写真をバックにして、セリフ入りスライドにするとかどうだろうか。
●あらすじを書いたものを店頭に貼ったが、文字サイズが小さい。
●あらすじは大きくプリント!
●店頭にはなるべく1人で立つ。複数人の場合は交代制で売り子をするか、全員椅子に
座るようにし、お客様と対峙するのは1人にする。複数人で同時に宣伝しない。
●売り子は小動物感を出した方がお客様は手に取りやすいかも。文フリの雰囲気的に
は。
3.文学フリマに出展することの小説家としての
●メリット
・作者として元気をもらえる。
・普段とは違うジャンルの作家とも交流が生まれる。
・会場で、もしくは後々講評をいただける。
今回はその場で読んで、無料で講評をしてもらえる企画もあった。
・作者と読者が交流できる。
・どういう人間が自分の作品に興味を持つのかわかる。
・イベント自体が落ち着いた雰囲気なので、トラブルの心配が少なく販売できる。
●デメリット
・わざわざ会場に足を運ばなくてはいけないので、Web上より見てもらえる人数は
少ない。
・採算を取るのが難しい。技術と経験がいる。
・コミケなどの漫画系のイベントに比べると来場者数が少ないので、販売対象のぱ
いが小さい。
・メイン層が少ないイベントでの販売であること。文学フリマなので、自分がメイ
ンターゲットとして想定している「生物学研究者orそういう生物学的妄想を楽し
める人」はそんなにいるわけではない。
4.次回売り上げを伸ばすためにすること
●店頭設置
・店頭全面に大きな文字のあらすじ、販売物宣伝ポスター設置
・タブレットPCで作品紹介スライドorスクリーンセーバーを出す。
・冊子の設置は全て縦にしておく。
●配布物
・印象的なフリーペーパーを用意する
・冊子の色合いは明るめ系にする。
・表紙で書いたくなるようなデザインにする。
●その他
・売り子は男性・女性の両方用意する。
・遠くに住んでいる方用に通販方式を確立する。買いたいけど足を運べない方はい
る。同人誌用の通販会社を利用(5月中に手をつける)。
5.総評
楽しかったし、濃い人も何人もいました。そういう方を見つけて購入し、こちらも宣伝するのが大事かなっと思いました。あと、店頭でお話までしてくださる方には、「自分が1番面白いと思う点を話すのではなく、相手が面白いと思いそうな点、興味持ちそうな点を話すようにする」を忘れないように。
最後に一言、楽しかったのでまた参加しまっす!