自作話
蘭子は黒板の図を書き直しながら話した。 蘭子も自信がなくなってきたのか、黒板の主張にクエスチョンマークが書き加えられている。 「自分もそう思います。蘭子の仮説が見当違いだとは思えません」 思わず声を出した。しょげている蘭子を見ていたら、少し肩…
「そんな、だっておかしい。ありえない」 両手で口を覆いながら、何度も画面を見直す蘭子。ただ何度見ても黄色がかった麺ではなかった。 「うん、みんなさっきとは違う答えにいたったみたいだね。ただ答えを決めるのにはちょっと足りないかな。他のサンプル…
「今回私たちの班は『人種依存的麺文化発生機構の証明』を目的として実験を始めました」 「麺文化というのは、『人種』で決まるのか、それとも住んでいる『土地』で決まるのか、そのどちらなのかを明らかにしようという証明です」 「ちなみに私は、こと『ラ…
画面が地球全体から南イタリアへとズームアップしていくと、既視感のある街並みが目に入った。赤を基調とした建築物、笛の音を中心としたBGM、スリットの入った民族服を着て蒸し器から肉まんを取り出す売り子。民族服に無理やり押し込んだ欧米特有の凹凸のあ…
好きだからたくさん聴くのか。たくさん聴いたからその曲が好きなのか。という問いは、好きだから会おうとするのか。よく会うから好きになったのか、と同じだ。第三の答えもあるかもだが、それは今考えない。というか脳の容量がいっぱいでそこまで考える隙が…
「けんちゃんは良くできた子供だったよ」 予想外にも僕の面の皮は厚く、ちゃんと子供をできていた。 それは一見意外に思えたけど、考えてみれば当然だ。 そんな複雑な言葉を関係を頭で照らし合わせることなんて、8歳のぼくにできるはずがない。ただただもや…
ぼくは今すごく奇妙な気持ちの中にいる。 別に悪いことをしているわけではない。 悪いことをした覚えもない。 けど、悪いことをして、怒られる前の時のような心地がした。 もしかしたら、最近何かに付けて怒られてるから、少し過敏になってるだけかもしれな…
Planet Biology 〜人種依存的麺文化〜 「ラーメン食べたい」 対面の女学生こと蘭子は培養中の地球胚を見ながらつぶやいた。 実験机上で組んだ腕に顎を乗せ、ぼーっと眺めている。 「宙下一品のこってりラーメンが食べたい」 店名とメニューも唱えた。 だが、…
まぶたを上げると、そこは真っ暗。 まわりは温かいなにかに囲まれている。 「…?」 そして、私が何なのかわからない。 いつもだったら、起き上がって、ワイシャツとチェックのスカート身につけて、ご飯作って、今日は部活があるから早く学校に行かなくちゃ。…