おもしろい事・作品

おもしろい事・作品について記述したブログです。

古いMacのソフトを新しいMac上で動かしたいとき ~SheepShaverを使ってSuperPaintを動かす~

 

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使いたいソフトが、自分の持っているパソコンで動かなかったとしたらどうするか。

今回はOSとその上で動くソフトの話。

話の始まりは父のこんな一言から
iMacの方でもSuperPaint動かすようにしてよ」
非常にざっくりしたお願い。
iMacとはアップルが出してる据え置きタイプのパソコン。うちのはその2011年バージョンのやつ。

SuperPaintとは、Aldus社製のMacOS上で動かす絵描き用ソフトの事。
父はそれをお仕事用に愛用している。

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これだけ聞くと話は簡単そうに思える。
MacにSuperPaintをインストールして、起動するだけじゃないか。

実際にやってみた。
が、起動できなかった。


というのもそれは当たり前の話で、SuperPaintはMacOS9上で動くソフトだからだ。そして所有しているiMacのOSはMacOS10(Lion)。動くはずがない。


現に父も古いMacを使って、OS9環境を用意してSuperPaintを使っていた。
いつ壊れないかと思いながら。
おそらく父もそれが嫌でこのようなお願いをしたのだろう。今のMac環境がダメになったときに、取る選択肢が「中古のMacを探し回る」しかないことが。

というわけで今回、新たな選択肢

「新しいMac(OS10)上で古いMac(OS9)環境を構築する」

を提供してみることにした。イメージはこんな感じ。

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OS10に仮想化ソフトをインストールし、その仮想化ソフトでOS9環境を構築。
そのOS9にSuperPaintをインストールして使う。といった具合だ。
ちなみに、仮想化ソフトというのは「OS10のパソコンを使っているのに、まるでOS9を使っているみたい」の「まるで」を実現するソフトのことだ。

調べた結果、今回やりたいことにぴったりなソフトとして、「SheepShaver」という仮想化ソフトが見つかった。

 

 

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 名前の通り、毛刈り中の羊を模したアイコン(笑
外国の人が作ったフリーソフトで、OS9環境のことを調べると、嫌が応でもこのソフトを目にする。結構最近もアップデートしていて、OS10.10のYosemite対応のSheepShaverもあった。
今回欲しいのはOS10.7のLionに対応したSheepShaver。こちらを選んでインストール。

※ガイドサイト:http://atsuyuki.blog130.fc2.com/blog-entry-405.html

※ダウンロードサイト:http://www.emaculation.com/forum/viewtopic.php?t=6703


また、SheepShaver以外に必要な材料として、以下のファイルも用意。
Mac OS ROM(Read Only Memory)
・MacOS9
Mac OS ROMは手持ちのOS9環境PCから切り出して作成。

※ガイドサイト:http://www.katch.ne.jp/~kakonacl/douga/sheepshaver/sheepshaver.html


MacOS9は家の中でCDが見つからなかったので、中古で購入(6千円)。CDはOS9環境を作る度に使い回せる。と言い聞かせて自腹を切った(笑

今回唯一の出費。

 ※購入サイト:http://www.pasocomclub.co.jp/list/mac_os_9.html


材料が揃った所で、SheepShaverでmacOS9起動!
 ※インストールや設定の手順は下記サイト参考
http://atsuyuki.blog130.fc2.com/blog-entry-405.html

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無事起動しまんた(^ ^)
右側の大きなウインドウがSheepShaverの画面です。
MacOS9環境が見事実現しました!!

さらにSuperPaintをインストール&起動!!

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正常稼動(^ ^)
動作も、作成したファイルのOS10側とSheepShaver間のやりとりも問題なし!

ただ、文字入力がちょっと不具合があるので、チューニングは必要。

性能測定や、細かなチューニング等やることはまだまだありそうだが、とりあえず当面の目標は達成。

今回の環境構築を通して、MacOSの歴史(インテルMacとそれ以前のMac)や、優秀な絵描きソフトSuperPaintが何故生産中止になったのかなど、メインじゃないとこでも面白いことがいろいろ分かった。また、こういった類の環境作りの需要はデザイン系の人を中心に結構あることも分かった。だいたいは中古PCを後生大事に抱えている感じ。

次回はそこらへんの話を書こうかと。

脱法蚕

好きだからたくさん聴くのか。たくさん聴いたからその曲が好きなのか。という問いは、好きだから会おうとするのか。よく会うから好きになったのか、と同じだ。第三の答えもあるかもだが、それは今考えない。というか脳の容量がいっぱいでそこまで考える隙がない。そして今日も空容量が減る。

 

 

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

ロシア系美女が真っ白い手を伸ばして、ティッシュを配る。

「ん」

何事もないように目だけで挨拶して右手でティッシュを受け取る。

 今日もここから始まる。

 

 美人の近くで深呼吸するとストレスが減るという、研究データを飲み屋かネットで聞いたが、あれは本当だ。

 今まさに体験しているし、今日だけでなく昨日も一昨日も先週も、心臓のパルス(逆)のようにガッとストレスが下がる。そして、改札に入ったあたりでガッと上がる。残り香はホームまでは届かないみたいだ。

 その後残るのは鼻炎誘発スギ花粉と、ストレスを足していくだけのお仕事。に向かう通勤電車。

 ここから先のストレスパルスは平行線に近いゆるーい下り坂の直線を明日の朝まで描いていく。

 

 帰宅。

「サー」

 押入れを開く。

「ざっ」

 小さな段ボールを出す。

「ポスっ」

 今朝もらったティッシュをそこに詰める。

 決して使いはしない。

 美女の残り香を楽しむように、鼻をかんだり、オナニーティッシュに使ったりという方法もあるし、それがある意味スタンダートなのかもしれないけれど、生理的な理由で却下。

「生理的にダメ」とかの生理ではなく、本当にダメなのだ。

 自分は小学1年生のとき、ティッシュに触るとかぶれてしまう体質になってしまった。

 鼻をかめば顔はパンパンになるし、ケツを吹けば、地獄のような苦しみが待っている。ただA社のシルクティッシュだけは大丈夫なので、必要なときはそれを使うようにしている。

「ざっざっ」

 ティッシュを詰め終えたので押入れに段ボールをしまう。

 備蓄用のA社のティッシュ入り段ボールの隣に置く。

「サー」

 押入れを閉じる

 それが自分の毎日だ。

 すごく退屈そうに可哀想見えるかもしれないがむしろ逆だ。

 毎朝の数秒、ティッシュ嬢の肌ツヤ、変わらない宣伝先会社のTシャツの胸元の皺、を見ることだけに研ぎ澄まされる集中力。

 毎晩ティッシュの保管により満たされるコレクター心(最初はティッシュ一つ一つに年月日日時分秒を書いていたが気持ち悪いので止めた。とっくに気持ち悪いけど、これだけは止めた)。

 最近は、退屈な仕事も楽しく、効率が上がったようにも感じるようになってきた。ほんとイイことづくめだ。

 誰にも迷惑かけてないし、俺は幸せだ。ティッシュ嬢(どうでもいいけど、「ティッシュ嬢」という響きなんかエロくないすか)も確実に1個はける要員がいて良い事と思っているはずだ。もしくは認識していない。

 だからこのルーチンは続いた。

 

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「おはようございマース。よろしくおねがいしマース」

「ん」

「サー」

「ざっ」

「ポスっ」

「ざっざっ」

「サー」

「」

「ん?」

「サー」

「サー」

 何故か今日は、ティッシュ嬢はいなかった。

 ティッシュ嬢が地元の駅で配るようになってから、初めてのことだった。3週間限定のキャンペーンだったのだろうか。

 気分はだだ下がりである。

 

「」

「ん…」

次の日もティッシュ嬢はいなかった。

気分は最悪だ。正直会社に行きたくない。

自分だけでなく、世界が、どよーんとしているように見える。

 道を歩いてるジジイも、冬服を着ている女子高生も、カートを引いてる背中90度のババアも、駅員室から改札を眺めているおっちゃんも、みんな目が虚ろだ。なんなら涎もだらだらだ。だらだら?

 

 恋は盲目。

 

 ちっちゃな町がラリっているのも、ティッシュのパッケージが何故か地元の製糸工場なのも今になって気づいた。

 駅前の電気屋がさっきから地元のニュースを逃しているのも今気付いた。

「…今日のニュースです。上蚕町の製糸工場で、違法な遺伝子組み換え蚕を作成していることが明らかになり、同工場の社長らが逮捕されました。今回、彼らは絹糸腺に脱法ハーブの成分を産生させることで…」

釣り堀と富士山とカツサンドの話②

「けんちゃんは良くできた子供だったよ」


予想外にも僕の面の皮は厚く、ちゃんと子供をできていた。

 

それは一見意外に思えたけど、考えてみれば当然だ。

 

そんな複雑な言葉を関係を頭で照らし合わせることなんて、8歳のぼくにできるはずがない。
ただただもやもやして、大人にはニッコリするだけだ。


スローターハウス5の主人公よろしく、8歳から21歳、そして25歳へと移動した僕は
Kさん家でビールを飲みながら、おせち料理をつついていた。

 



「そもそもなんで、自分はK家に預けられて釣りに行ったんですか?」

 


答え合わせ。



「まぁ、けんちゃんが釣りにハマってるのは聞いてたし…、お父さんは忙しいから…」


Kさんにそんな話までしてたんだ。そんな子供の趣味趣向ワガママなんて相談しなくてもいいのに。

「で、預けられて…。いやー、良くできた子だよ~。泣かないし、会うと必ず飛び込んでくるし(笑」

 

さっきまでの自分なら耐えられたんだけど、25にもなると、ちと恥ずかしい。

 

そんなに全力少年だったのね。。

「私達当時は子供いなかったしね~、これからできるとは思ってたけど」


「授かるかは運…ですもんね」


「うん」

Kさんは気にしてないということにしている。気にした時期もあったんだろうか。あったんじゃないか。まぁいいや。

 


Kさんが一息付くのを見て質問。


「じゃあ、予行練習みたいな感じだったんでしょうか?」


「あっそうそう。そういうのもある。」


 

なんか引っかかる。何かある。


 

「あとねー、小ちゃい子連れてくと、親戚が喜ぶんだから〜」


それは8歳のぼくにはなかった視点。

 

ただただ「なんでぼくはここにいるの?」しかなかった。

 

でも今の自分ならそれはわかる。

 



「でも良かったです。なんか自分ちゃんと子供できてたんだなーって」


「不安とか顔に出てなかったんだなーって」


これで20年来のモヤモヤ無事解決!

っとはならず、話は続く。

 



「あとね、お父さん集中させたかったし」



ん?なんの話だろう?



「えっ、なんで自分を釣りに行かせるのと、うちの親父を集中させたかったってことが繋がるんですか?」


好きは好きだけど、そんなにうるさくお父さんにせがんではいなかったはずだけど。子供だからしてたのかな?


「うーん、なんていうか…」


「ブレていたのよ」


Kさん特有の言葉を選んでいるときの間だった。ここ2時間酒を交わしていて気付いた特徴。

そして、それは全く予想していなかった答えだった。



「だからわざわざ相談してきたんだと思う」


「えっ」と心で漏らした。ちょっと出ちゃったかもしれない。

 



「私はお父さんに作品に集中してもらいたかったし、それで抱えてるものが少し減るならね~」


「その代わりに日曜日も仕事してもらったけど(笑」


「まぁ、WinWinだよ」

 



…
なんというか自分のモヤモヤした気持ちの話とかどうでもよくなってきた。それよりも、あの人がブレることがあるんだ。そのことの方が驚きで、大きな事実だった。

 


もしかしたら、あの人としてはあんまりそこは言いたくない所だったのかもしれない。


いや、そもそもあの人にしてみたら別にブレてるって認識はなかったのかも。Kさん視点からだとそう見えた。ってだけで。




でもまぁ、8歳の僕はその事を聞いたとしても同じような一日を過ごしたと思う。


なぜなら、ブレてるって言葉に当てはまるモノを頭の中に持っていなかったから。


それくらいぼくの世界はせまく、本当を大きいって知ることにいちいちびっくりしていた。


オチ。


「でも、結局日曜日で仕事上がんなかったんだけどね(笑」
え?


「リラックスし過ぎて終わらなかったみたい」

 



〆切は伸びるものだってことも今の僕なら知っている。

釣り堀と富士山とカツサンドの話

ぼくは今すごく奇妙な気持ちの中にいる。



 

別に悪いことをしているわけではない。





悪いことをした覚えもない。



けど、悪いことをして、怒られる前の時のような心地がした。

 



もしかしたら、最近何かに付けて怒られてるから、少し過敏になってるだけかもしれない。



事実だけを並べてみると、こんな気持ちになるのはおかしい。


むしろ、今は行きたかった所に行けてうれしい時の気持ちのはずなのだ。

 



実際うれしいしはずだし、楽しいはずだ。

 




だけどなんだろう、この手放しに楽しめない気持ちは。



 

「けんちゃん、ほら、富士山見えるよ~。」 



 

窓の方へ寄って行って見ると、おっきい山が立っていた。 


 


しばらくずーっと眺めていたが、その山の姿は全く変わらなかった。 



これが、おっきい山の特徴なんだろうか。




 

今、この車にはぼく(8才)と、Kさん夫婦が乗っている。

 



奥さんであるKさんはお父さんの仕事仲間であり、昔から親交がある。

 



ぼくもよく可愛がってもらっている記憶がある。 



 

少し話は戻るが、この車にはぼくとKさん夫婦が乗っている。 




 

 

つまり、ぼくの親はこの車に乗ってないのである。

 



話は数時間前にさかのぼる。
 
 
今日は 最近ずっと忙しいお父さんが、 釣りに連れて行ってくれるという約束の日だった。

 




前に友達の家族と、アユ釣りに行ったことがあって、 


それ以来釣りにはまってしまっていたのだ。


川に岩で囲ってあって、そこに放されたアユを釣るという、


ほぼ釣り堀という形ではあったが、釣れたときのあの感触は小学生のぼくにとってはとてつもないものであった。

 



それ以来、 釣りに行くというイベントは特別なものになった。 



 

その特別にまた連れて行ってもらえるとなって、ぼくは前の日からすごく楽しみな気持ちでいっぱいになった。 



 

しかも今回はお父さんと一緒なのだ。 


何が起こるんだろう。

 




で、その目的のイベントなのだが、どうやらKさん夫婦も来るらしい。

 



Kさんというのはお父さんの仕事仲間で、よくうちにも来る。 



 

いつも会うたびに可愛がってくれるし、 
話も面白いので、ぼくも含めて家族みんなKさんが大好きなのである。

 




釣り(堀)に行くというのもKさんの提案らしい。 





 

とりあえず、Kさん達との待ち合わせ場所まで、 
お父さんの運転する車で行くことに。

 




行楽シーズンのせいか、道路は渋滞していて、


待ち合わせの場所まで行くのに半日近く使ってしまった。

 



待ち合わせの場所に着くと、Kさん達が待っていた。 




 

どうやら釣り場のところまではKさんちの車で行くらしく、 


そっちの車に乗り込む。 



 

すると、お父さんがいっこうに乗ってこない。 



 

後部座席のドアが閉まる。


Kさんちの車のエンジンが点く。

 




「それじゃ、今日は1日うちの息子よろしくお願いしま~す」

 



車の外に居るお父さんがKさん達に向かって、言った。

 




「え?」

 




「わかりました~、それでは行ってきます」 


ぼくと一緒に後ろの座席に座ってるKさんが楽しそうに言った。 




 

 

こうして、ぼく(8才)とKさん夫妻とのドライブが始まった。

 

 




そうして、現在にいたる。


今はKさん(夫)の実家に向かって車を走らせている。 



 

どうやら、釣り堀に行く前にKさん(夫)の実家のトンカツ屋さんに寄ってちょっとご飯を食べるらしい。

 

 




「富士山でかいな~」

 




さっきから、 


車の右側に寄って窓をかがんで見ないと、


てっぺんが見えないほどに大きな富士山がそびえ立ってる。

 

 




別にぼくはそこまで富士山が好きというわけでもないのに、


見ているのにはワケがある。
 




なんか、変な気分なのだ。
 
 
 
よく知ってる人とは言え、親が同席してないなか家族以外の大人と一緒に居るというのは。 


まだ小さいぼくはあまり経験したことが無いので、 


自分でも理解できないような気持ちがぼくの中にあった。 




 

別に、ぼくもKさん夫婦も何も悪いことをしていない。 


お父さんも悪いことをしていない。

 



だが、気まずさとは違う何か違和感のような気持ちがそこにはあった。

 





ぼくはここにいていい人なのだろうか? 




 

もしかして、ぼくはKさん夫婦のせっかくのお出かけを 
邪魔してしまってるのではないのだろうか。

 



お父さんが最近ぼくにかまってあげれないから


無理言っておもりを頼んだのではないのだろうか。

 




こういったいろんな考えが、 


意識下と意識の間でうろちょろしてる感じがした。

 




ぼくはさっきから、こんな落ち着かない気分なのに対して、


Kさん達はなんか楽しそうだ。

 




「けんちゃん、プリッツ食べる〜?」


隣にいるKさんが顔を伺うように尋ねた。 



 

「うん! あっ、ありがとうございます。」

 



「はい、どうぞ」 


袋を開けたプリッツを差し出してくれた。

 




やっぱりサラダ味はうまい。 




 

そうこうしているうちにKさん(夫)の実家に着いた。

 



この後行く釣り堀が早く行かないと閉まっちゃうので、


予定を変更してご飯はそこで食べない事にした。

 




カツサンドを作ってもらって、車の中で食べることになった。

 




それを作ってもらっている間、


Kさん(夫)のお父さんとお母さんもいるなか、


ぼくはまたあの気持ちになり、 


借りてきた猫になるしか選択肢がなかった。

 




もしかしたら、本当にぼくはKさんちの子になっていて、 


その家の子として紹介されてしまうのではないのだろうか。

 



どこか所在なさげに過ごしたその10分は、


1時間より長く感じられた。

 




その後、Kさん(夫)実家を出て車の中でカツサンドを食べながら釣り堀に向かった。 




 

短いながら今までの人生で食べたカツサンドの中で上位に来る程のうまさだった。

 




うん、おいしい 




 

やっとの思いで釣り堀に着き、


営業時間にも間に合ったので3人で普通に楽しんで釣りをやった。

 

 




この時ばかりは、釣りに夢中になって余計なことを考えずにすんだ。
 
 


釣りが終わった後、釣った魚を持ち帰り帰路に着いた。

 




帰りの車では自分の家に着くまで寝てしまった。


理由は



 

疲れていたのと

 



隣にいたKさんの肩に


なんだか寄りかかりたくなったからだ。

 




家に着くと同時に今日考えてたことが全て解消され、安心したせいか、その日あったことを思い出すことはしばらくなかった。
 
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10年以上たった今になってその事を思い出し、あれは何だったのか 


親父に聞き出してみた。 



 

こんな答えが返ってきた。 



「あれは、


俺は息子と遊んであげる時間がない。


Kさんは子供と一緒に出かけてみたくて、しかも時間がある。


ってわけでちょうど良かったから、差し出したんだよ。」

 




聞いてて少し気になることが出てきたので、聞いてみた。

 




「Kさんて今も子供いないよね?」 



 

「あ~、いないよ」

 




わかった。 




 

自分が何を知らなくて、Kさん達と親父がどんな考えだったのかを。 




 

そして、今の自分ならそれがどういうことなのか理解できるということも。
 

Planet Biology_人種依存的麺文化_①

Planet Biology 〜人種依存的麺文化〜

 

 「ラーメン食べたい」

 対面の女学生こと蘭子は培養中の地球胚を見ながらつぶやいた。

 実験机上で組んだ腕に顎を乗せ、ぼーっと眺めている。

「宙下一品のこってりラーメンが食べたい」

 店名とメニューも唱えた。

 だが、ここは宙下一品(堀之内店)でもなければ、ラーメン屋でもない。つぶやきは試験缶を通り抜け、俺の耳に雑音としてキャッチされるだけ。ただ、地球胚にノイズが入るのは困る。

 早々に黙ってもらおう。黙らなければ、ネガティブデータの考察はすべて「蘭子のノイズ依存的地球胚の発生異常」にさせてもらう。

「我慢しろ。あと1限で終わるんだから」

 蘭子はふくれながら、元のだらけた体勢に戻るどころか、突っ伏し始めた。

 本班の実験は待ちの状態とはいえ、発生異常に備えて観察していなければならない。

 ひとりで頑張るかぁ。残り1限とはいえ、まだまだやることはあるのだけど。

 「もうちょっと面白いのを期待してたのになぁ」

 といった寝言を最後に、返事がないただの屍となった。

  こいつが寝ている間に、我が惑星大学地球(悲しいことかな、このまどろっこしい綴りが本大学名である。時の権力者の独断と偏見で決まったらしく、この履歴 書に書きづらいネーミングのせいで何万人の在学生・卒業生が苦しんできたか。ほんんっとあのクソい‥おっと、誰か来たようだ。こんな夜中に誰か(ry ) の学食人気ワーストランキングベスト3でも紹介して、次の操作までの時間をつぶそうと思っていた。が、残念ながら食堂店長からストップがかってしまった。 どうやら、カスカスポテトの話をされるのが気に食わないらしい。

 なので代わりに、今日の実験について説明しよう。

 今日は惑星生物学学科の選択必修の一つ、「惑星生物学実習」。惑星発生研究室主催の実習で、主に地球胚のパラメータ依存的発生異常を観察することになっている。

  2日に分けて行い、1日目の今日は火の海期から5大陸期まで培養することになっていた。各班、その5大陸期になるまでに、重力、酸素濃度、暗黒物質濃度、 といったパラメータを変える処置を行う。翌日に、どのような発生異常が起こったのか観察し、解析するといった流れだ。もちろん、正常発生のままの場合もあ る。

 どのパラメータを変えるかは自由だが、先生が提示したいくつかの変更項目の中から1つ選び、それをマイナーチェンジする班がほとんどだ。

 俺と蘭子の班も、先生の提示した項目を少し変えて「シルル紀デボン紀の間でパラメータを変更し、硬骨魚類以降の脊椎動物(最終的に人類まで見る)の進化速度への影響を解析する」という実験をすることに決まっていた。

 地球胚の培養すらしたことない俺にとっては、とても面白そうに思える。が、高校の惑星生物部でやったことのある蘭子はそうではないみたいだ。始まる前からすごくつまらなそうな顔をしている。

 まだ時間はあるな、それでは惑星生物学についても少し説明しよう。

「惑星生物学」、英語で「Planet Biology」と呼ばれるこの学問分野は比較的最近生まれた。

 すべてはX.Gurdonによる”Planet”の開発から始まった。

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 Planetは21世紀に活躍した発生生物学者Xenopus Gurdonが開発した、「シミュレーション型惑星及び、惑星発生装置」の総称である。Planetは主に2つの要素から成り立つ。1つはシミュレーショ ンする地球などの惑星。もう1つは、その惑星を時間軸に沿って発生させるための環境である試験缶。他にも試験缶に詰める暗黒物質など、細かな要素はこの他 にもあるが、Planetというと一般的にその2つのセットのことを指す。ちなみに今回の実習では地球型惑星が各班に配られ、みんなそれを使って実験をし ている。

 Planetに目を向けた。

 順調に発生が進んでいる地球胚と、蘭子が目に入った。こいつももう少し黙ってくれればそこそこなのになぁ。

 

いつまでもこれを眺めるてるのはバツが悪い。起こすことにしよう。

 

「そろそろシルル期も終わるんだけど」

 そーっと声をかけた。

 返事がないただの屍のようだ。

 よし、パラメータ変更は全部自分でやってしまおう。3年の大事な選択必修、落としてしまうのは痛いからな。

 実験机の試験缶を惑星顕微鏡のスロットにセットした。準備は完了。

 初めての実験だけど、酸素濃度を少し下げるだけなので難しくは無い。

 試験缶のフタを開け、抗酸素剤を50マイクロリットル入れようとした、そのとき。

「ちょっと待ちなさい」

  俺の右手が右手に掴まった。ピペットマンが震えた。

 危うく先端のチップをイジェクトしそうになった。

「あぶないなぁ!なんなんだ。」

 怒気を込めて、蘭子の方に視線を向けた。

「いい実験思いついた」

 目をらんらんと輝かせて、地球胚に焦点を合わせた蘭子。

 顔チェンジしたア●パ●マン並みの転換。

「思いついたも何も、もうやってるから」

「私たちのラーメン愛は生まれたときから決まっていたのよ」

 日本語でお願いします。

「ということで」

 何がということなのか。

「麺料理の”始まり”を探す実験をしません?」

と言ってにっこり笑いながら、ピペットマンの先をゴミ箱にイジェクトした。

 

スクリーンショット:意外と知らない人が多いSnipping Tool

今日は、意外と知らない人が多い「Snipping Tool」について紹介します。

Snipping Toolスクリーンショット用のソフトです。正確には「画像の一部をキャプチャし、画像を保存または共有、あるいは画像にコメントを追加することができる」ツールだそうです。

このソフトはWindows系のパソコンにデフォルトで入っています。少なくとも、プライベート用のVistaと仕事用のWindows7には入っていました。

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使い方は簡単!

windowsボタンを押して、左下の検索フォームで「Snipping Tool」と打つ。

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Snipping Toolをクリックし、起動する。

すると、ちっちゃなSnipping Toolsの操作画面が出てきます。

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③新規作成を押してある状態にして、カーソルでスクリーンショットしたい範囲を選択する。

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④選択すると、このようにスクリーンショットの結果画面が出てきます。

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⑤スクショ画像を保存しておきたい場合は、ファイル→名前付けて保存、をしましょう。これでスクリーン場の情報が画像ファイルになりました。これで修了です!

お疲れ様でしたm(_ _)m

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ちなみに選択方式は四角形以外もできます。また、ファイルの保存形式はPNG,GIF,JPG,単一ファイルHTML(MHT)が選べるようになっています。

似たような処理をPrint Screenキーでもできます。が、こちらはいちいちペイントを開かなくてはいけないので、好きじゃないです。画像加工したい人はいいかもですが。

 

今回、知らない人が多いと気付いたのは会社の研修で、エビデンス(求めてるプログラムが作れているか、スクリーン上の処理画面を撮影して、それを見せて示す事)を作成していたときです。

自分がSnippingToolsってのがあるって話をすると、95%くらいの人が知らなかったと答えました。

で、SnippingToolsのが使いやすいと言う人ばかり(笑 中には情報系出身の人でも知らない人がいました。

結論としては、エビデンスを取るだけだったら加工もしないし、必ずファイルとして残すので、SnippingToolsが便利かなぁ。という感じです。

 

☆おまけ☆

ちなみに、今回の記事に添付した画像を作製するために、Print Screenも使いました。

なぜかって?

Snipping ToolではSnipping Tool自身はスクリーンショットできないからです(笑

枕魚と触感_5月に読んだ一番面白かった本

枕魚

 

「マクラウオ(※)は優れた肌触りと弾力で知られ、人々は海へ出てマクラウオ(※)を捕え、それを頭に敷いて寝ていたといいます。」

 

 引用:p.207, 枕魚, 初版, 著panpanya, 発行:白泉社

 ※マクラウオは漫画では漢字一文字で描かれています。

 

 枕魚は著者panpanyaが雑誌「楽園」に掲載したお話を中心とした短編集。単行本「枕魚」はー話完結形式で、表題作である「枕魚」の話の他にもたくさん短編が詰め込まれています。

 中でも私が1番気に入った話は、さっきから何度も唱えてる、「枕魚」の回です。

なんといっても触感。

枕魚のプニュプニュとした触り心地が、白黒の紙から感じられるのです。

最近寝違え気味なので、あったらほんとに欲しいです。一日で腐りますが。

この単行本の中の他の作品にも、この触感が光る場面がちらほらあります。

「雨の日」の話のカエル抱っことか。

 

単行本は1000円+税と少し高いですが、量的にたっぷりだし、何度も読みたくなるし、値段相応かなぁ。といった感じです。

 

というわけで、5月に読んだ一番面白かった本の紹介でした。

www.amazon.co.jp